呼吸法

最近のヨガブームなどで、呼吸法に随分スポットが当たってきているように思える。武術や、それに伴う気功などの世界でも呼吸法はかなり重要なウエイトを占めているが、様々なやり方があって、中々難しい。本当は自流派の呼吸法を体系に沿ってやりこむのが一番なのであろうが、それが出来ない方も多いと思われる。そこで、各呼吸法に共通するエッセンスを抽出して簡単にまとめてみる。

  • まず何より、息を吸うのは鼻からであることが大前提。これは全ての呼吸法に共通。なお、その際下を上の歯の裏に付けておくこと。
  • 呼吸は深く。横隔膜をしっかり利用した腹式または逆腹式呼吸。逆腹式は正しいやり方をしないと健康に害を与える可能性もあるので、腹式(吸ったときに腹が膨らみ、吐くときに凹む)をお勧めする。
  • 吐くことが主であること。吸うことに意識を集中してはならない。体の力を使って息をしっかり吐ききったら、体を緩めて自然に息が吸い込まれるように。イメージとしては、スポイトを押して空気を出して指を離したら、自然に空気が吸い込まれるさまを思い浮かべていただければよい。
  • 吐くときに体内の悪い気・物質(各人それぞれのイメージでよい。私は黒いもやのようなものを思い浮かべている)が、吐息と一緒に出て行き、吸う時に空気中の良い気(このイメージも各人イメージしやすいものでよい)を体内隅々まで取り入れる心持で行うと、体中に精気がみなぎってくる。実際に木が多い公園の、日の出直後などに出来れば理想的。これについては陳式太極拳家の近藤孝洋氏の著作『極意の解明』などを読んでいただくと解りやすい。
  • 運気などについては、指導者がいない場合には絶対意識してやってはいけない。偏差を生じる恐れがある。気は正しい呼吸法により自然と循環するものである。

以上のようなポイントが各呼吸法に共通する基本事項であろう。良い呼吸法により生活の質を高められれば幸いである。